業務請負契約書と労働者派遣契約書の雛形販売

派遣と請負

業務を外注する場合(または外注を受ける場合)には、請負契約を交わして対応することが多いのですが、その業務内容が物品の製作を独立した事業者に対して全面的に依頼するようなケースでは問題は少ないものです。
しかし、外注の業務内容が労務提供の場合には、請負契約ではなく派遣契約に類似するケースも生じてきます。労働者派遣契約については、許認可を得ることが前提となり、通常の請負契約書では対応はできません。

そこで、業務として労務提供を行う場合には、請負契約と労働者派遣契約の違いを把握しておく必要があります。請負であるとみなされるためには、次の旧労働大臣告示の内容を完全に満たしている必要があります。

請負の要件

(昭和61年4月17日労働大臣告示37号の要点)

1.労務管理上の独立性
自己の雇用する労働者の労務の直接的利用がなされていること。
  (1)労務管理上の独立性
     1)直接自ら業務の推敲方法の指示等を行うこと。
     2)直接自ら業務遂行の評価等を行うこと。
  (2)労働時間管理上の独立性
     1)始業や終業時刻、休憩時間、休日等の管理を自ら行うこと。
     2)時間外・休日労働の判断を自ら行うこと。
  (3)秩序の維持、人事管理上の独立性
     1)自ら規律の設定・管理を行うこと。
     2)自ら労働者の配置等の決定を行うこと。
2.事業経営上の独立性
自己の事業としての独立処理が行われていること。
   (1)経営上の独立性
     自己責任による資金の調達が行われていること。
   (2)法律上の独立性
     関連法規上の事業主責任が遂行されていること。
   (3)業務上の独立性
      1)設備や材料等が自己調達により業務遂行されていること。
       (注文者による設備の無償提供には疑義が生じます。)
      2)専門的技術により自己の独立した業務遂行がされている。
       (単純な肉体的労働の提供ではないこと。)

請負契約であるためには、以上のような受注者の完全な独立性が必要です。
業務請負契約の契約書を交わしても、業務内容が労務提供であり、上記基準の独立性が保たれていない場合は、実質的には派遣契約と解釈され、いわゆる偽装請負の疑義が生じることになってしまうので注意が必要です。(偽装請負は職業安定法第44条違反となり、懲役や罰金の対象となります。)

上記の告示が満たせない労務提供の場合は、請負契約には該当しないので、労働者派遣業の許可を得る必要が生じます。